自動車保険の等級制度
自動車保険をはじめとして、保険はすべて相互扶助の理念の上に成り立っています。
相互扶助とは互いに助け合う精神から出た制度で、複数の人がお金を出し合い、大きな損害を皆で埋め合わせるというのが基本理念です。
自動車保険の場合、多くの加入者が保険料を支払い、支払われた保険料をもとに、損害を受けた場合の保険金に充てられます。
この仕組みを理解しておくと、自動車保険の等級制度の仕組みもわかります。
自動車保険には1等級から20等級までの等級制度が設けられています。
ノンフリート等級とも言われますが、10台以下の車を所有する人が契約できるのがノンフリート契約です。
自動車保険の等級は1等級が最も保険料が高く、20等級が最も低くなります。
なぜ一律に同じ保険料にしないかという理由は、先ほどの相互扶助の理念が関係しているからです。
相互扶助の理念があるおかげで、無事故の人ほど割安な保険料になります。
具体的には補償を受ける機会の多い人と少ない人について考えてみると良く分かります。
もし保険料が一律であれば、補償を受ける機会の多い人ほど保険料に対する補償額は大きくなり、得することになります。
そうした事態がまかり通ってしまうと、補償を受ける機会の少ない人は損をしてしまうことになり、大きな不公平が生じてしまいます。
しかし補償を受ける機会の少ない人ほど保険料が安く、補償を受ける機会の多い人ほど保険料が高くなるようにすれば、公平さが保たれます。
ですから等級制度が設けられているのです。
自動車保険等級制度の仕組み
自動車保険は保険加入者に対する公平性を確保するため、割引等級制度が設けられています。
等級が上がれば上がるほど割引率が高くなりますが、等級が下がると割高になります。
少子高齢化により、自動車を運転する人が減少しているため、損害保険会社の保険料収入が減少しています。
そのため事故を起こした人とそうでない人との公平性を保つため、等級制度の見直しが行われました。
平成28年2月現在、自動車保険等級制度は事故を起こした場合とそうでない場合とで割引率が変わっています。
自動車保険等級制度の仕組みで注目できるのが、事故あり等級と無事故等級です。
事故あり等級とは交通事故を起こし、保険を利用した人に適用される等級制度で、無事故の場合の等級制度とは異なる割引率が適用されます。
例えば無事故の場合、12等級で割引率が47%なのに対して、事故あり12等級は27%の割引率になります。
割引率が20%も下がるので、交通事故で自動車保険を利用した場合、翌年からの保険料負担が大幅に上昇します。
これまで飛び石や落書きされた場合、車両保険を利用しても等級ダウンはありませんでしたが、新たにこれらの保険金請求事例でも等級ダウンが適用されるようになりました。
飛び石などの場合は1等級ダウンになります。
事故あり等級は等級ダウンした際の段階に応じて適用期間が決まります。
例えば交通事故を起こし自動車保険を利用した場合は3等級ダウンになります。
この場合、事故あり等級が3年間適用されます。
元の状態に戻るには4年もかかってしまいます。
もし1年間に複数回自動車保険を利用した場合、等級ダウンの回数が利用分に従って加算されます。
例えば3等級ダウン事故を2回起こした場合、6等級ダウンし、事故あり等級は6年間継続します。
3等級ダウン事故と1等級ダウン事故をそれぞれ1回ずつ起こした場合は、事故あり等級が4年間継続します。
交通事故を起こし、自動車保険を利用すると、保険料負担が大きくなるので、安全運転を心掛けたいものです。
自動車保険の等級はリセットできるか
交通事故を起こし、自動車保険を利用すると3等級ダウンするため保険料が大幅に増えます。
仮に一年間に複数回事故を起こしてしまった場合、等級ダウン事故が加算されるため、保険料はさらにアップしてしまいます。
自動車保険の等級は保険会社を変更したとしても引き継がれるため、契約している時点での等級をリセットすることはできないのが実情です。
もし保険会社を変えることでリセットできてしまうのであれば、保険会社の保険料収入が減少し、自動車保険を運営することができなくなってしまうからです。
保険の公平性からしてもリセットはできません。
どうしても等級をリセットしたい場合があるかもしれません。
保険等級が6等級以下になると年間保険料が割増しになっていきます。
最も低いのが1等級ですが、ここから6等級にまで戻るためには少なくとも6年はかかってしまいます。
保険料を支払うだけの経済的な余裕がない場合、リセットができれば家計も助かりますが、そのようなことはできるでしょうか。
自動車保険の約款によると、どの損害保険会社でも無保険状態が13カ月以上継続すればこれまでの保険契約の情報はすべて抹消されることになっています。
無保険状態の起点になるのは保険の満期日からです。
例えば11月15日に満期日を迎える場合、その時から13カ月後の翌年の同日以降であれば等級がリセットされます。
等級がリセットされた場合、再度自動車保険の契約をすることで、6等級からのスタートになります。
しかしながらこの方法を繰り返してしまうと、保険の公平性が保たれないため、保険会社では契約者に関する情報を参照して契約を見送ることがあります。
保険は万一の時のための備えとして契約するものですし、保険料で運営されていますから、契約を見送られたとしても意義を唱えることはできません。
名義変更をしたり、車を買い増ししたりしても等級をリセットすることはできないので、注意が必要です。